第11章 ビター ✢R18
「みんなでなら楽しくて、いーっぱい食べれるよ♪」
「……じゃあ、行こっかな。」
“苦しいことも悲しいことも、
一緒に乗り越えられたらもっと嬉しい。”
熱で休んだ月曜日、蜂楽が言ってくれた。
優しい言葉に、少しずつ心に温かさが蘇ってくる。
「廻、ハグ……して?」
「素直なかわい子ちゃんだコト♡」
この胸の中にいれば、“だいじょーぶ”って思えるのに。
「チューは?」
「ちょーだい……?」
「あーい、ただ今♡」
そろそろ話した方がいいのかな?
キスで目を閉じた時、瞬間的に考えた。
「食べれるもの食べてね♪また明日の昼休み!バイバイ!」
「ありがと、バイバイ。」
蜂楽……蝉川のこと、大丈夫かな。
───蝉川、か。
…………
……待って、もしかして。
私を尾けてたのって、まさか……
蝉川───?
仮にそうだとしたら…
合宿中、蜂楽がまたいやがらせされる可能性は高い。
いつもより長い時間を共にするのだから、今までより酷いことされるかもしれない。
きっと蝉川は、私と蜂楽が付き合ってるのを面白がってこんなことしてるんだ。
蜂楽のサッカーが気に食わない、だけじゃなく。
私のせいだ……
蜂楽に“恋人役”なんて頼んだ、私のせいだ……。
なんでもっと早く気付かなかった?
蜂楽といるのがあまりに幸せで……
こんな単純なことにも気付けなかった。
蜂楽をこれ以上、巻き込んじゃダメだ。
蜂楽を……もう傷付けたくない。