第11章 ビター ✢R18
「夢ちゃんさぁ、ちょっと痩せたよね?」
木曜日の帰り道、蜂楽に言われた。
「夏服んなると細さ際立つ。ちゃんと食べてる?」
繋いだ手を、キュッと握られた。
「……最近あまり食欲なくて。なんていうか、ひとりだと食べたくなくなっちゃう。廻と一緒のお昼だけはなんとかね…。」
「あらら、そーなんだ。」
いつも一緒の蜂楽から見ても、痩せたって判るんだ。
ここ数日、あの悪夢を繰り返しみるせいだ。
でもその少し前から、食事が喉を通っていない。
ひとりぼっちの食事に、いい加減うんざりしてるから。
「じゃあさ、俺ん家くる?」
蜂楽から不意にトラウマになっている台詞を言われ、私は立ち尽くしてしまった。
「……ぁ。」
悪夢がきっかけで一年前のことがフラッシュバックしてた最近。
頭にこびり付いている、苦い記憶と重なる。
「夢ちゃん?」
終わりの見えない黒い霧に覆われてる。
蜂楽……私、どうしたらいいの?
「ホラ、俺。土曜日の夕方に合宿から帰るから。
その日、俺ん家で一緒に夕飯食べよ?また優と3人でさ♪」
このままじゃ私……ダメだよね?