第11章 ビター ✢
経験して解ったが、親に避妊具を強制的に持たされるというのは、思春期の高校生にとって強烈だ。
ただの“支給品”だと、割り切れる度胸も無い。
親のメンツを保つため?
自分の身を守るため?
勿論、大事な理由ではある。
当時の私も、今の私も、誰が相手でも。
高校生である以上、当然避妊は必須だ。
産科医の両親が敏感になるのは承知しているし、
親として、娘の私を心配してくれてるのも解る。
だったら……どうして、こうなるの?
もっと普段から私の側にいて……
見守って、助けてくれれば良かったじゃん。
その程度の私との時間も取れなかったくせに。
どこぞの知らない女性達のためばかりに
時間を費やしてるくせに───。
私にはこの避妊具が
自由を認めぬ“鉄の首輪”に感じる。
父と母の支配からは逃れられない
というメッセージ。
避妊を失敗する娘はいらない
という産科医達からの強いプレッシャー。
父と母が心配していたのは“高校生の妊娠”で
私の、心や体のことでは無い───。
“彼のこと好きだったんだよね。辛かったね。”
と、一言の慰めも貰えなかった。
親の愛情って……一体、何なんだろう?
私は純粋に自分のために
もう傷付かないために
ゴムを持つという選択をしたかった。
父と母の、ためじゃなく。
これは私の……
取るに足らないエゴなんだろうか───?
父と母にバレてから蝉川との関係は終わったが、
結果的に一ヶ月間程、犯され続けた。
毎回媚薬を口移しされ、毎回5回くらい犯された。
私は心も体も疲弊して、抱き潰された。
もう蝉川を好きか嫌いかも判断できない程に
追い込まれていた。