第11章 ビター ✢
「だから金曜は一緒に帰れなくなっちった。
ごめんよ。」
一昨日の試合会場からだって、途中の河川敷から一緒だったし。
そう考えると蜂楽と一緒に帰らないのは、出逢った日からは初めてだ。
「つまらん合宿だし、サボっちゃおっかな。」
「廻、サッカー優先してよ。」
蝉川の蜂楽に対する態度は心配だけど……
私のために合宿に出ない選択をされることも嫌だ。
蜂楽のサッカーの、足を引っ張りたくない。
そう言いつつ帰り道への不安もあって、複雑だ。
それに、金曜日は生徒会の会議で帰りが遅くなる。
来月に控えた文化祭の会議で、会長の私は出ないわけにはいかない。
「一日くらい大丈夫!もしかしたら合宿で、楽しいサッカーと出会えるかもしれないよ?
私、サッカーしてる廻が好き!」
「…うん♪」
会議が終わったら、すぐに帰ろう。
一日くらい……大丈夫だよね?