第10章 わすれもの
「特別なアイスに。」
「かんぱい♪」
アイスは私の微熱を下げると思ったのに…
蜂楽と一緒にいられる幸福度が高くて、まだまだ頬は火照ってる。
頻繁には食べられないアイスだからというだけじゃない。
好きな人と一緒に食べるって、本当に美味しい。
お湯を沸かしながら飲み物を探していると、一年くらい前から手を付けなくなった紅茶の缶に指が触れた。
「(紅茶…は、やめておこう。)」
もう一年も、好きだった紅茶を飲んでいない。
缶は見なかったことにして、二人分のコーヒーを淹れた。
「俺、子供舌。黒いコーヒー飲めん。」
「あは、言うと思った。でもこうするとね……あーら不思議。」
「にゃは!それ入れちゃう?♪」
「美味しいんだよ、コレが。」
蜂楽が飲みやすいよう薄めにドリップして、
蜂蜜をティースプーン1杯。
コーヒーと蜂蜜は、実はとっても相性が良い。
「砂糖よりカロリー控えめで、栄養も摂れる。あとは……」
「甘いね!俺でもおいしー♪」
「ふふっ、だね。」
表情豊かな蜂楽を見ていると、今朝方みた悪夢のことも忘れられる。
気持ちが伝えられて、本当に嬉しい。
勿論、蜂楽からの気持ちも、同じくらい嬉しい。
カップを片付けに立ったら、蜂楽に後ろから抱きしめられた。