第16章 明かされる秘密
サムットが語るにはこうだ。
クリスタ一家はそれぞれ何かしらの特殊な力を持って生まれることが多く、四つの家系は協力し合いながら共に同じ土地に暮らしていたのだと。
だがある日、赤と青のクリスタ一家は黄と緑のクリスタ一家と分断してしまった。お互いの力を利用しようと争いが起きたからだ。
だから赤と青の一家──つまり、サムットとミカエルのご先祖は黄と緑のクリスタ一家から逃げるために地下で暮らしていたが……ミウが生まれたことをきっかけに、地上の暮らしを始めたのだそうだ。
「それは、ミウが……」
言いかけて俺は口をつぐむ。すぐそこでミウが話を聞いているからだろう。
だが、話の続きをミウ自身が始めたから俺は驚いた。
「あたしは何しても傷つかないから、神様の生まれ変わりなんだって。あたしはミウなのに変だよね」
「あたし何しても傷つかないから」
それは確かに、ミウと初めて会った時にも同じことを言っていた。だからミウはあの研究所に閉じ込められていた。恐怖の感情が欠けているミウを、連れ去ることなんて容易かったのだろう。
だが、そこまで話を聞いて俺はもう分かった。神様の生まれ変わりとする能力者が現れたのだとしたら、それは誰もが欲しがるはずだ。そしてミウはまだ小さい。予想した通り、サムットはこう言って話を締めくくった。
「僕たちは生まれ故郷を出ていきました。全てはミウを守るためだったんです。ミウが、他のクリスタ一家たちから狙われて悲しいことになる前に……」
「なるほど」
俺は頷き、ミウの方へ目を向けた。ミウは散々聞いた話なのか、つまらなそうにその場で足を伸ばして座っている。これが恐ろしいということを、ミウはいつ分かっていくのだろう。