第9章 写真
「ねぇゆめちゃん許して?」
「……」
「何でもするから!何か欲しいものとかない?」
「……」
「高価なものでもいいよ…あ、旅行とか!
USJにハリーポッターのアトラクション出来るよね?
夏休みに連れて行ってあげるよ?
オフィシャルホテルに泊まってもいいんだよ?」
彼の目が輝く。
「旅行?こんな変態と旅行なんて行くわけないでしょ?調子にのらないで」
私は冷たく言い捨てる。
「ごめん…なさい」
彼がしょんぼりして謝る。
「ゆめちゃんに嫌われたら生きていけない…お願い許して?」
潤んだ瞳で私をみつめる彼。
私は…
「うん。決めた」
私は笑顔を作って彼の顔を見た。
彼が少しホッとした顔をする。
「何か欲しいもの思い出した?」
「うん」
私はカバンの中からiPhoneを取り出す。
そしてカメラを起動し、ビデオに切り替える。
そして逢坂くんにレンズを向け赤い録画ボタンを押す。
高い電子音がポンと響く。
「逢坂くんの恥ずかしい動画撮らせて」