第7章 桃色
(あれ?なんか今日は遅いなぁ…)
図書室の本を閉じ、iPhoneの時刻を見てみる。
いつもならこの時間、もう帰ってる頃だけど。
部活忙しいのかな?
ちょっと見に行ってみようっと。
私は書棚に本をしまって図書室を出た。
文芸部の部室は図書室のすぐ近く。
iPhoneをチェックしながら廊下を歩く。
メッセージは来てないなぁ…。
部室の扉が半分くらい開いているのと、逢坂くんの姿が見えた。
(あ、やっぱまだいたんだ)
扉の外から声をかけようとした時、逢坂くんが一人の女の子と話してるのに気がついた。
黒いロングヘアに眼鏡。
色白で背が小さくて地味で真面目そうだけど、よく見たら可愛いってタイプの女の子。
あのスカート丈と制服の生地の真新しさは1年かな。
なんか原稿用紙みたいなのを持って逢坂くんと話してる。
まあ、部活の話だろうけど…。
(いいや。先に帰っちゃおうっと)
そう思って後ろを向いた瞬間、
「ゆめちゃん」
逢坂くんの声がした。
私はゆーっくりそっちの方に向く。
「ごめん。遅くなっちゃって」
逢坂くんが1年?のコに「じゃあね」て感じのジェスチャーをして、荷物を持ってこっちにかけてくる。
その女の子は私の方をチラッと見て、軽く会釈した。
(いいコぶっちゃって感じワル)
私はナチュラルに気づいてない感じにシカトした。