第1章 初めまして
「そのアクセ好きなんだね。3日前も付けてた」
私が彼を初めて認識した時のセリフ。
キモイと思った。
「アクセ…?この髪留めのこと?」
私がやっとのことでそう言うと、彼はにっこりと微笑んだ。
「うん。とても似合ってる。可愛い」
いきなり可愛いとか言われて少しドキッとした。
でもよく考えたら余計キモイ。
藤城の制服だから藤城学園の生徒だとは思うけど…。
「えっと…あなたは…?」
「ん?僕のこと、もっと知りたい?ふふ…うれしいな」
「…」
「初めまして…ではないけれど、僕は2年E組の逢坂紘夢。ずっと前から君に夢中なんだ」
(…キモイ)
ただただ唖然とする私。
「とりあえず行こうか」
彼の声に少し我に帰る。
「へっ?どこへ?」
戸惑う私に彼は優しく微笑む。
「学校だよ」
そう言って彼は私に背を向けて歩き出した。