第1章 出会いと宿命
(政宗様が私の世界を壊してしまった。)
それからというもの、どうしても政宗を目で追ってしまう自分がいた。
政宗様の目に映る事など到底ない自分。
それでも幸せだった。
あの時食べた卵焼きの味も忘れられない。
今日は軍議で政宗殿もいらっしゃるのか…。
ソワソワしてしまう。
(一目お目にかかれたら…。)
一介の髪結いが何を焦がれているのか、あほらしくなる。
広間のそばを無駄に行ったり来たり…
不自然だし、これじゃ不審者だ。
秀吉様が通りかかり私に声をかけた。
秀吉「桜どうした?顔が赤いぞ」
桜「な、な。なんでもありません、お天気が良いので縁側を」
秀吉「そんなあからさまに 慌てふためくな・・・顔にま・ず・いって書いてあるぞ」
桜「失礼いたしました、今日は大事な軍議の日ですね。すぐに下がります」
秀吉「待て…何…まだ時間はある…。どうしたってんだ。俺が聞いてやろうじゃないか」
いつも通り優しい笑みを向けてくれる秀吉様
あなたに隠し事をするなんて辛いが、自分のプライドにかけてもこんなはしたない願望や欲望など言えるはずもなかった。
桜「秀吉様のお力を借りるような事ではございません」
桜はするりと交わし秀吉から逃げた。
秀吉「あ、待て。。。桜」
(なんだか様子が変だな)
秀吉はうっすら桜の異変に気づきつつも軍議に向かった。
(また死ぬとか思っていないと良いが、そんな様子ではなかったしな…)