第1章 出会いと宿命
城で与えられた仕事は髪結いの仕事だった。
忙しい時は女中と一緒に料理や炊事を任される事もあった。
元来男嫌いの桜は基本女と秀吉としか会話を交わす事はなかった。
真面目によく働く桜を「よしよし」と秀吉は可愛がってくれた。
以前は遊郭の女の髪結いばかりしていたが、1年も経った今では秀吉様や家康様の髪を切らせて頂く事も増えた。
刃物を向ける仕事故相当信頼して頂いていると見える。
このハサミも秀吉様に贈って頂いたもの。
私はその期待に応えたいし、髪結いの仕事よりも、何よりも秀吉様にお仕えしこのお命を守るということだけを考えていた。
医学にも詳しくなりたいと思い、家康様にも教えを乞うた。
軍議の後、秀吉様が血相を変えてお出かけになるのを見送り、心がざわついた。
戦に向かわれるのだ。
城にいても何も役に立たない。
そんな気持ちが胸を圧迫している。
秀吉「じゃあ行ってくる、みな気をつけよ」
残る家臣や、女中たちにも声をかけ秀吉様は出て行かれた。
(・・・・どうかご無事で)