第6章 こぼれ話
チームレッドvs世界選抜チーム
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千切豹馬の脚が限界を迎え、彼は尻もちをついた。
モニターで見ていたはすぐに現場へ向かう。
ちょうどドアを開けようとした時、ダダ・シウバのスタッフを呼ぶ声が聞こえて、それに応える型でピッチにひょこっと入った。
「呼んだ?」
「うおっ、早えーよ来るのが」
が神出鬼没なのは今に始まった事ではないので新鮮さはないが驚きは多少ある。
「見てたと思うけど、この子はギブアップ」
「肉?骨?」
「筋だって」
簡潔に説明してくれたパブロに一言礼を言い、その場で可能な限りの処置を行う。
得点板をちらっと見てから手をしぱしぱと動かすが、口もよく動いた。
「今ゴールしたの誰?」
「俺」
「あなた以外の8人、疲れてる?」
「「「まさか」」」
煽っているつもりはない。
あくまで現場の確認と、これからが提案することに否を言わせないための保険だ。
そういう意図があると知っているから8人の意見は一致した。
「じゃあレオナルド・ルナと千切豹馬を抜いての8人で試合続行。1-0スタートで5点先取」
やるよな、やらないとは言わせない、やれ(三段活用)と言わんばかりの圧の強さで言われて、世界選抜チームは大人しくいいよと了承し、チームレッドも望むところだと再熱した。
「今日のあの子の質問、ちょっと印象に残ってるな」
「あの子?」
「白くて身長高い子」
「凪誠士郎か」
世界選抜のメンバーとは随分打ち解けたように思う。
仕事が一区切りついて遅めの夕食をとっているの向かい側に、端末を持ったレオナルド・ルナが座ってきた。
自分の仕事をサボることもの食事を妨げる様子もなかったため、も食べるスピードは変えずにルナの向かいに座ったままでいた。
食事中のよくある世間話のように切り出されたのは、今日試合をした相手のことだった。
サッカーのことはよく知らないに言ったということは、凪の実力云々ではない話だろう。