第4章 VS 世界選抜チーム
ここにダダ・シウバがいたらガハハと盛大に笑っていたことだろう。
なんせかのアダム・ブレイクが童貞呼ばわりされたのだから。
「あとレンタルした着物汚されるのは普通に嫌だと思う」
「じゃあアンタとはヤれないのか」
「それは私とあなたの気分次第だろ」
至極真っ当な指摘である。
フラれたとも捉えられる返答だが、初対面の時とはだいぶ変化している。
「最初は無理って言ってたのにどういう心境の変化だ?」
「私に2日分ほどの余裕ができたのは、あなた達が4日も早くレポートを終わらせたからだ。働きに見合う対価になるなら着物くらい着るよ」
「律儀だね」
組紐はもう飽きたのかと思いルナの方を見ると、10センチほどの長さで止まっていた。
ミサンガなどにするには足りないが、雫型のストラップくらいにはできる。
「もう終わり?」
「うん」
はルナから台座を受け取ると、しぱしぱと手慣れた様子で金具を付けてフック型の栞を作った。
ついでに自分の分も。
「はい。本を読みたくなった時にでも使って」
「おお実用的」
「俺にもくれ」
「はい」
が編んでいた笹浪組はブレイクの手に渡った。
思いの外気に入ってくれたらしい。
「この後の予定は?」
「ちょっと早いけどディナーかな」
「予約は?」
「してあるよ。2名」
「おい」
「冗談。3名ね」
「なら着替えるか。着物のまま食事は想像の4倍大変だから」
「ブルーロックはどうだった、とか訊かないの?」
「サッカーのことは詳しくない」
「でも俺達のことは美しかったんでしょ?」
「そこまで話すほどあなた達は仲が良かったんだ」
「いや全然。きみとのデートの感想聞いただけ」
「ロキとカバソスにうざ絡みして無理矢理聞き出してた」
「尋問…」
10も年下のロキになんて大人げないことを。
ルナを責める目で見るだが、食事の作法は美しいままだった。
の年齢から逆算して、物心がついたばかりの時から染み込んだものだとわかる。
お嬢様育ちというのは本当のようだ。
言動があまりにもアレだが。