第4章 VS 世界選抜チーム
数秒考えた後、は答えた。
「同世代でもこれだけ差があると教えたかった」
「それは僕だけでしょう。あの4人を選んだ理由ですよ」
理由はそれだけではないと簡単に見破られた。
さてどう答えるべきかとちらりと周囲を見ると、ちょうどカバソスの座る後ろにあるクレーンゲームに土産に相応しいモノがあった。
はクレーンゲームが上手いわけではない。
何度もトライしなければならない。
チャリンと一回分のコインを入れ、ボタンを押して操作を始めた。
同時に、ロキにだけ聞こえるように話し始める。
「お金出せばなんでもやってくれそうだったから」
「なんでも?」
「才能のゴリ押しはなるべく避けて技術で捩じ伏せること、一試合ごとに相手チームの反省点を丁寧に言語化すること、適度に煽ること、その他いろいろ」
「あの人達の性格を知ってたんですか?」
「性格は知らない。数字は知ってた。だから数字で判断した」
サッカーにおいて素人同然の女性が、男子サッカー選手を数字だけ見て選抜した。
これだけでも異例の事実だ。
「…僕達のわがままをきいたのもそうですが、こんな質問にも正直に答えたのは何故ですか」
2回目のクレーンも終わったが、が目的のものを取ることはできなかった。
すかさず3枚目の硬貨を入れた。
「知っての通り、あなた達を選んでここに呼んだのは私だ。選んだ側の責任として、報酬以上の対価を支払うのは、私にとって絶対条件なんだ。そして日本に来なきゃ良かったと思ってほしくなかった。だから、あなたが納得するためならいくらでも話すよ」
サッカーに拘りがない彼女が、ブルーロックには拘っている。
そしてブルーロックほどではないにしても、自分達に対しても拘っている。
そうするだけのものが自分達にはあったと、
「自惚れても良いんですか?」
「………」
片手で数えられなくなった頃、ようやっとは目的のモノを2つ釣り上げられた。
同時に、レースを終えてそばに寄ってきたカバソスとロキに、可愛らしい土産を差し出した。
「私はサッカーに関しては素人だから、どこがどうすごいのか分からないし、興味もない。ついでに、他人に可愛いともあまり言いたくない。それでも、」
「フットボールをしているあなた達は美しかった」