第4章 VS 世界選抜チーム
三次選考の1stステージは、世界選抜メンバーとの5vs5のチャレンジマッチ。
慌しくなることはわかっていたが、早速5人が来日する前に問題が生じた。
「通訳?」
「お願いちゃん!世界選抜メンバーの5人共、専属の通訳さん連れて来てないみたいで…」
「うちの原石共と通訳雇ってまで特に喋ることねーってコト」
ケチくせぇ、なんて言う絵心を横目に、帝襟はあわあわと慌てている。
絵心や帝襟ならば英語が話せるから対話は可能だが、重要な立場にいる2人がずっと選手達のところに留まるわけにはいかない。
であれば、元々選手達と近い場所にいるに白羽の矢が立つのも必然。
「私は構わない。怪我人が出ない限りは基本時間空いてるし、選抜メンバーを選んだ側にいたし。ただ通訳翻訳のいろはは知らないから、長ったらしいこと言われたら雑に要約する」
「十分。どーもね」
「本当にありがとう!」
___そんな流れで、現在がいるのは羽田空港の指定した集合場所。
選考メンバーは所属国がバラバラなので、仲良く同じ飛行機に搭乗することはないため、集合時間もまばらである。
(1人目に来るのはフランス代表の……)
タブレット端末でスケジュールをチェックしていたところで、目の前から英語で声がかかった。
「失礼、あなたがMs.ツギクニですか?」
「…はじめまして。私が継国です。フランス代表のジュリアン・ロキ選手」
「はじめまして。よろしくお願いします」
高校生くらいの褐色肌の青年がに話しかけた。
彼は17歳という若さで国の代表入りを果たした神童、フランス代表選手のジュリアン・ロキだ。
「話しかけてくれてありがとう。よく私だと分かったな」
「チームのドクターが貴女を知っていたんですよ。“見たら分かる”と。あ、コレはドクターからのメッセージです」
「見たら分かるってなんだ」
ロキから手渡された書面を見るを、ロキは楽しそうに眺めた。
ドクターから言われていたのは「女の子にしては背が高かったなぁ。髪も目も黒い究極のアジアンビューティーで神秘的なんだよ!とにかく見たら分かる!」だった。
マジでその通りだったな、と思った。