【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第10章 【コミュ企画】【鬼滅の刃】彼女の推し【時透無一郎】
このお店の由来にもなっている名物「ひょっとこ焼き」はどんな物かと言うと——
「僕、もんじゃ焼き食べるの初めてかも」
「そうなんだね。私の推しメニューなんだよ、これ。気に入ってくれると嬉しいなあ」
ネーミングからたこ焼き系なのかなと勝手に思っていたら、まさかのもんじゃ焼き。
「もんじゃって言えば月島が有名だけど、うちのお店のもなかなか美味しいんだよ」
テーブルの中央にある鉄板へ生地を流し入れ、両手にヘラを持って名物を焼いて行く彼女の表情は凄く生き生きとしている。
「ふうん、だからこれひょっとこ焼きって言うんだ」
「そう、ひょっとこに見立てて焼くからね」
キャベツ、もち、チーズ、明太子。
これらの材料を使用して、生地と一緒に焼いていく。
「比較的簡単に出来るから、バイトの先輩から後輩へ受け継がれていきやすくてね」
お客から焼くのを頼まれた場合のみ、従業員が焼いても良い事になっている。僕が今やって貰っているのが正にそれだ。
「はい、出来たよ〜! 当店名物のひょっとこ焼き」
「これ、どうやって食べるの?」
どうやら小ベラで掬って食べるのだそう。
「ひょっとこ焼きだけじゃお腹いっぱいにならないから、一品料理を後で食べるのも良いんじゃないかな。唐揚げ、いかの天ぷら、それからふろふき大根もあるよ」
「じゃあ、ふろふき大根もお願い」
小ベラにのったひょっとこ焼きに息をふうふうとかけながら、口に入れる。
うん、確かに彼女の言う通りこれだけじゃお腹いっぱいにはならなさそう。
初めて食べたひょっとこ焼き…もんじゃ焼きは外はパリッと、中はトロッと言った食感で、何て言うのかな。
独特な味なんだけど、もちとチーズの絡み具合は悪くない。
少し刺激がある明太子の味もなかなか。
「どうかな?」
「今まで食べた事ない味だけど、嫌いじゃない」
「良かった〜気に入ってくれた? 無一郎くんの嫌いじゃないは好きって事なんでしょ。有一郎くんが言ってたよ」
そうだっけ。
「上條ーひょっと焼きを焼いてくれって。俺七番行くから、八番頼む」
「わかった! ごめん、今からお店混んで来るけど、ゆっくり味わって食べてね」
「うん、ありがとう」