第1章 【R指定】【呪術廻戦】貴方の全てを壊したい【七海建人】
「夏油センパーイ。」
次の日に夏油1人なのを見計らって、仁美は夏油に近づいた。
満面の笑みで。
一方夏油は、笑顔ではいるが、近づいてくる仁美を微妙な顔で見ていた。
「昨日はありがとうございました。ナイスタイミングでした。」
昨日のお礼を仁美が言うと、更に夏油は呆れた顔をする。
「まったく……私を彼氏の当て馬役に使うなんて、君しかいないだろうね…。」
溜息を吐きながら言う夏油に、仁美はにっこりと微笑み返した。
「先輩へのチョコ奮発したので、それで許して下さい。」
貰ったチョコより、これから自分が七海から受ける眼差しの方が高くつきそうだと、夏油は思った。
「…その様子だとお望みはかなったようだね……、悟には今の七海で十分と言っていたようだが…。」
少し意地悪く聞いてみるが、仁美の笑顔は変わらなかった。
むしろ夏油の質問に余計に目を輝かせる。
「はい!とっても満足しました。
他の人への七海は今のままで十分満足してますよ。」
そう言って、仁美は目を細くして、口元だけで笑う。
「だけど…見たいじゃないですか……自分だけしか知らない七海の顔。」
そう呟いた仁美の顔に、夏油はぞくっとした。
「…いやはや……七海に同情しそうだ……。」
「よく言いますよ、ノリノリだったじゃないですか、2回も電話くれるなんて。」
夏油の同情の言葉を、仁美はバッサリと切り捨てる。
悪ノリはするがやりすぎない、夏油は仁美が思った通りの行動をしてくれた。
「……しばらくは、七海の視線に良心が痛みそうだよ。」
夏油の言葉を聞いて、仁美はキョトンとした。
「何言っているんですか、夏油先輩が私ごときを本当に気にしているなんて、誰も思いませんよ。」
「……………。」