【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第8章 R指定】【呪術廻戦】玉屑(ぎょくせつ)【五条悟・夏油傑】
「見つけた。」
この数年。この目敏い男から逃れられていたのは、傑が仁美の居場所を懸命に隠していたからだ。
その声を懐かしく思う暇もなく、悟の手が仁美の体を掴むと、簡単に腕の中に収められた。
夢で嫌というほど見ていた六眼が、仁美の姿を確認すると目元を和らげた。
「仁美。」
ニッコリ笑った悟は、記憶よりも幼さをなくして大人の顔をしていた。
悟の腕の中で、仁美の顔が青くなる。
呪詛師になってから、こうして悟と会うのは初めてだった。
ニコニコ笑っている悟に対して、仁美の顔はどんどん険しくなる。
「…まだその呪霊くっ付けてるんだね。」
悟は仁美の首に巻かれている、呪具を収納する呪霊を見て言った。
傑が仁美の大きな鎌を持ち運べる様に用意した呪霊だ。
あんなに大きな鎌を持ち歩くのは、アニメの死神と仁美位だ。
悟の目が細くなったのは、仁美に巻きついているソレが傑の様に思えて、気分が悪くなったからだ。
すぐに悟は仁美にまとわりついていた呪霊を祓った。
その呪霊を祓った音に、仁美の体はピクッと強張った。
「……本当に、よく今まで仁美を隠してたよね…。」
「……………。」
顔は笑っていたけど、声色と悟の目線で彼が怒りを込めて言っている事はすぐに分かった。
「でもやっと僕の手の中に戻ってきたね。仁美。」
悟は愛おしそうに仁美に抱き付くと、仁美の頭を撫でながら言った。
(………本当に全然変わってない…。)
傑の後に仁美に触れる場合は、こうして次は自分の番だと言わんばかりに仁美に擦り寄ってくる。
まるで悟だけはあの時のまま時間が止まっている様だった。
そんなはずが無いのに…。
道を違えた2人は、今は呪術師と呪詛師なのだから。