【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第7章 【幽遊白書】その蕾はいつか花となる【修羅】
「………………。」
修羅に弱い黄泉は、それ以上何も言えなかった。
(まぁ…、蔵馬に頼んだ様だし…。)
父親として心配だが、仁美が蔵馬を頼った事を知っている。
修羅が人間界に行くなんて、都市の1つや2つ吹き飛ばしてしまわないか心配だ。
(蔵馬の事だから、まさか修羅と仁美を2人だけで人間界に居させる事は無いだろう…。)
黄泉が今回の修羅の小旅行を許可した理由は、蔵馬への絶対的な信頼からだ。
決して修羅に嫌われたく無いから、尾行を中断した訳ではない。
仁美との人間界への小旅行に浮だっている修羅を横目で見る。
(…果たして、修羅の望む様な旅行になるか…。)
そうは思っても、黄泉は修羅にもう何も言わなかった。
「「………………。」」
「久しぶりだなぁ!コレ黄泉のガキの修羅。」
「へー修羅くんって言うんだぁ。よろしくね。」
「…………………。」
いや……。
何と無く…。蔵馬は来るんじゃ無いかと思ってだけど…。
仁美は蔵馬どころか、浦飯チームプラスαが集結しているのを見て遠い目をする。
浦飯幽助に雪村螢子。
桑原和真に雪菜。
そしてニコニコ微笑んで、その光景を見守っている蔵馬。
初めての海に用意万端の姿でテンションが下がる仁美と修羅。
仁美は手に持っていたビーチボールを蔵馬に投げ付けた。
結構ないい音を出して、ビーチボールは蔵馬から弾かれて浜の砂の上に落ちた。
「痛…。」くは無い。
「なに全員集合してるんですか!!これじゃあ修羅様と2人きりで楽しめないじゃないですか!!」
殆ど涙目で仁美は蔵馬に訴える。
「……人間界の海を舐めすぎですよ…初心者2人で来させる訳無いじゃないですか。
水難事故多いんですよ。人間界は。」
そうハッキリと言う蔵馬に、仁美の肩はワナワナ震える。
それにしたって…。
あたかも皆んなで楽しもうの、この雰囲気はあんまりだ…。
(昨夜は寝れない位に楽しみにしてたのに…。)
そう恨み節を心の中で唱えながら修羅を見て、仁美は一瞬時が止まった。