【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第6章 【R指定】【WB】彼はクリスマスケーキより甘い【梅宮一】
「……たかが、クリスマスイヴだって思ってた…。」
耳元で、梅宮の言葉がゆっくりと聞こえた。
「だけど、仁美が俺とのクリスマスを楽しみにしてくれてたなら、その気持ちを『たかが』にしたくなかった。」
その梅宮の言葉を聞いて、仁美は目を瞑って梅宮に抱き付いた。
「……気付くの遅いよ…。」
梅宮との時間は、イベントだけじゃ無くて、1秒1秒でも大切な時間だった。
悲しかったのは、それを思っているのが自分だけだと拗ねていたから。
梅宮はいつも全力で仁美に尽くしてくれていた。
だけど、自分がもっともっとと、梅宮に要求をしている様で。
困った顔をした梅宮に、いつも寂しい気持ちをしていた。
本当はいつだって、こうして梅宮は仁美の時間を大切にしてくれていたのに。
自分だけが梅宮を求めている気がしていた。
「……参ったなぁ…キスしたい。」
本当に困った様な梅宮の声に、思わず吹いてしまった。
「…ここじゃ出来ないよぉ。」
「…分かってる…、分かってるけど…、仁美が言った様にクリスマスは前もって予定組まないとね…。」
実は仁美に会ってしまったら、それだけで治らないだろうと、近くのホテルは確認した。
したし、クリスマスイヴの当日夜に、当たり前だけど空いてる部屋なんて無い。
「……明日はちゃんと段取り組んでるんでしょ?」
「当たり前。だけど仁美に会ったらいつも我慢出来なくなる。」
「……………。」
我慢させた後の梅宮がどうなるかは充分分かっている。
少し明日に身震いしそうだが、きっとそれはまた幸せな記憶として2人の中に残るだろう。
今はただ、多忙なこの男がわざわざ使ってくれた甘い時間を。
胃がもたれるまで堪能する。
「仁美、プレゼントは明日だけど…。」
「……もう貰った。」
いつでも1番欲しいのは。
こうして自分の為のだけの梅宮一の時間だから。
ー完ー