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【R指定】リクエスト短編集【原作色々】

第4章 【R指定】【呪術廻戦】貴方は離れない【夏油傑】



「ああ…仁美…君に夢中になりそうだ…。」


その言葉が本心なら、これ以上嬉しい事は無かった。

自分はとっくに彼に夢中だった。

















「……夏油様……動けません……。」

仁美は正気が抜けた様に、仰向けになって夏油に呟いた。


勿論そんな体を夏油は愛おしそうに抱き締めてくれる。

情事は確かに激しかったが、終わった後の夏油の優しさは変わらない。


優しく仁美に触れて、抱き締めてくれてキスをしてくれる。

こんな彼を好きになるのは必然だった。



いつも夏油を見ている仁美だから分かる。
今日の彼はどこか変だった。


乱暴に抱いたくせに、縋る様に抱き締めてくる。
そんな彼に仁美は胸が痛くなり、彼より強く抱き締め返した。



仁美が問いかけたい事が分かっている様に、夏油は仁美の額にキスをしながら小さく呟いた。

「……この時期は、気持ちが沈んでしまうんだ。」


あの夏の終わりに、違えた友との道。
蒸した空気と、人混みが不快だった新宿の人混み。


自分から背を向けたかつての友人と。
自分を咎めても殺さなかった彼の思い。


その別れを思い出しながら、いい様の無い自己嫌悪に陥るこの季節。


だけど今年はそんな気持ちより、穏やかに柔らかい体を抱いて心がほつれる。


愛しい仁美を見ながら、夏油は過去の残像が塗り替わるのが分かった。



「…仁美、私は猿が大嫌いだ。」
「分かってます……私本当は…。」

あんな低級呪霊祓える。

そう言いそうになり、仁美は口を結んだ。
本当はただ自信が無いだけだ。


『お仕置き』でなければ、夏油は自分を抱いてくれないのでは無いか。
そしてそんな不安をぶつけたら、夏油は離れてしまうのではないか。


夏油は仁美の考えている事が全て分かるから、思わず笑みを漏らした。


いつかちゃんと教えてあげようか。




どんな事があっても、自分が仁美を離す事は絶対無いと。



ああ。
でもそれは、もう少し自分に縋る仁美を堪能してからにしようか。




     
     
          ー完ー
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