第3章 【R指定】【ヒロアカ】白から黒、そして白【荼毘・燈矢】
何度も体を痙攣させた後、荼毘は大きく息を吐いて私の体に倒れて来た。
いつも冷たい荼毘の皮膚が、暖かく熱を持っている様だった。
その荼毘の感触に、私も息を整えながらゆっくりと目を瞑った。
その後、私達の関係は大きく変わった訳じゃない。
相変わらずフラッと来て、たまに私を抱いて、また荼毘は居なくなる。
「髪染めるの手伝ってくれねぇか?」
久しぶりに現れた荼毘はそう言って、私に黒染めを渡してきた。
「……おしゃれに目覚めたの?」
「……まぁね。」
私は言われた通り、荼毘の髪の毛の色を黒く染めた。
出会った時、真っ白だった少年は、髪の毛を黒くして、黒い服を着ていて白から黒に変化した。
「……あんたにやって貰いたかったんだ。」
黒くなった自分の姿を見て、荼毘は満足そうに笑って言った。
何故荼毘が黒くなったのかは分からない。
追われていて逃げる為か。
本当におしゃれな為か。
だけど黒くなった自分を鏡で見ている荼毘は、これから楽しい事が起きると分かっている子供の様に無邪気だった。
そして、黒くなった荼毘を見たのを最後に。
荼毘は私の前から姿を消した。
次に私が荼毘を見たのは、ビルに掛かっていた大きな液晶モニターだった。
そこに半身半裸で映っている荼毘はもう私が知っている姿では無かった。
私が治療をしなかった皮膚は、焦げていて、ツギハギの様にただ繋がっているだけだった。
液晶を通して見た荼毘は、自身の生い立ちの話をしていた。
私は彼が『轟燈矢』と言う名前だと、その時初めて知った。
その事に感傷的になる暇も無かった。
荼毘達が起こした事件の被害が酷すぎて、フリーの私も国からの要請で被災地に行って救護活動をしなければならなかった。
昼夜を問わずに、私は救護隊と一緒に活動して、いつヴィランが来るかも分からない最前線に居たのだ。