第2章 【R指定】【ヒロアカ】butterfly【綠谷出久】
だからもう、爆豪と個人的に会う事は無いと、仁美は言った。
その仁美の言葉に綠谷はホッとするが、すぐにまた疑問が湧く。
「じゃあ、緑色のアゲハ蝶は?」
緑色のアゲハ蝶の事を聞かれて、仁美の下瞼がピクッと動いた。
明らかに今度は仁美が動揺して、綠谷はそんな仁美の顔をジッと見た。
「………緑色のアゲハ蝶は、綠谷を考えてたら出来ちゃった蝶なの……。」
顔を真っ赤にしてそう言う仁美に、釣られて綠谷の顔を赤くなる。
なんて言ったって、この温室には緑色のアゲハ蝶が1番多い。
どれだけ仁美が自分の事を考えていたか、すぐに分かる。
「の、能力は?」
「…能力は無いんだよね…無個性かな?」
「……………。」
確かに、綠谷の事を考えて創作したと言うなら、それもありそうだ。
「…毎日来いって言ったのは?」
「毎日会いたかったから。」
会話を続けると、お互いどんどん顔が赤くなっていく。
「じゃあ、なんで僕は毎日来ちゃったの?!」
困惑し過ぎて、もう訳が分からなくなりそうだ。
「…綠谷も私の事好きだからしゃないの?」
「………………。」
仁美の言葉に、綠谷は再び固まった。
そして言葉を理解すると、自分の顔を両手で覆った。
本当に。
たったそれだけの理由だった様だ。
しばらく綠谷は悶絶しながら、その羞恥心に耐えていると、ハタと顔を上げた。
「…『綠谷も』…?」
手を退けて、仁美の顔を見ると、今度はまた仁美が顔を赤くする。
「うん、私はずっと綠谷が好きだったよ。」
ー完ー