【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第11章 【コミュ企画】 【WB】優しい先輩ってやつ【梶蓮】
なんちゅうくだらない嘘付いてるんだこの人………。
俺は妙に腹が立って、そんな言い合いをしている2人の背後にスッと近付いた。
「おい。梅宮さんお前が全部初めてじゃねぇぞ。」
急に現れた俺に、2人は驚いた顔をした。
俺の言葉を聞いて、梅宮さんはフッと笑った。
余裕のあるその顔に俺はイラッとした。
「そうだよね梶くん!!絶対嘘だと思ってた!!」
ほんの少し。
この女の顔が歪むかもと心配した気持ちは、杞憂だったとすぐに分かった。
「俺は嘘は言ってないよ。仁美さんは俺の責任を取る義務がある。」
うわぁ。
サラッと平気で嘘付いたよこの人。
誰がどう見たってあんたあの酔っ払い女となんかあっただろう。
俺が心底軽蔑した様に見るが、梅宮さんは少しの動揺も見せなかった。
「いやいやいや……。普通に違うって分かるから。」
「…………へぇ………なんで?」
笑みを浮かべたまま、梅宮さんの表情のトーンが暗くなって、俺とバカ女は一瞬にして顔を青くした。
「…え……だって初めての時って……。」
「……仁美さんは初めてのやつと比べる経験があるの?へぇー誰だろう。」
俺は脳裏にあの男を思い浮かべた。
多分バカ女も……。
そして梅宮さんも。
「え……いや…そうじゃなくて……。」
「そうじゃ無いならちゃんと説明して欲しいなぁ。」
………これはヤバいやつだ…。
俺とバカ女は瞬時に悟った。
「かっ梶くんはなんでそう言ったの?!」
あ。こっちに振ってきやがった。
俺はチラッと梅宮さんを見た。
「…………………。」
梅宮さんの笑顔の沈黙がヤバい。
俺は飴を口から取り出すと、バカ女の口の中に放った。
もう何も喋らないで欲しい。
「………梶………。」
「…………………。」
分かってる。この行為は梅宮さんにとってアウトなのだろう。
おいバカ女。
顔を赤めるな。
俺の明日が無くなる。
梅宮さんは素早くバカ女の口から飴を取ると自分の口の中に入れた。
「……仁美さん……。ゆっくりと話合おうか。」
そう言ってバカ女の肩をしっかり抱いている梅宮さんを見て俺は思った。
結局、梅宮さんの思い通りじゃねえ?