第3章 猛毒の情火(五条視点)
交わっては寝ての非常に堕落した時間だったが、嬉しい疲労感と共に休日を終えた。
それから1週間くらいは、その日の任務が終わると欲が燃え上がるように、生命を削り合うように、一心不乱に互いの体を貪る日々が続いた。
時間の経過とともに、徐々に熱が引くように落ち着きを取り戻したものの、ゆめかは僕の声を聞くだけで疼いて濡れるようになってしまったらしく、骨の髄まで僕で染め上げてしまったようだ。
「責任とってよね。悟じゃないとダメになっちゃったんだから」
そう言って、林檎のようなほっぺを膨らませて大層御冠(おかんむり)だった。
「よろこんで、責任とるに決まってるでしょ」
返答しながら、鼻息も荒く抱きつこうとしたら、グイグイと彼女に顔を押し返されて阻止されたのでガッカリした。
代わりに、黒い目隠しに優しく口付けが落ちる。
「悟が好き」
初めて名前を呼んでもらった時と同じ、甘ったるくて心が乱される響きを含む声に、彼女の愛情を感じて頬が緩む。
名を呼ぼうとした僕の口に、やわらかい感触が押し付けられ、熱っぽい吐息とともに離れていくので、それを追いかけて夢中で唇を重ねた。
何度もキスを交わして、お互いの体温を確かめ合うように抱き締め合った。
健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、君を愛し、君と支えあって生きていきたい。
だから、僕だけを見て、僕だけを求めてくれるのならその思いに一生報いていく。
呪術師なんて碌な死に方をしないだろうが、例え僕が先に死んだとしても、地獄の業火でも焼ききれないほどの強き契りを君と交わしたい。
「ゆめか……ずっと僕のそばにいて」
僕の最愛の人。
命が尽きても、この愛だけは永遠に続くだろう。
END.