第1章 ご主人様の言うとおり
「来年の悟の誕生日は、どんなお祝いにしようかな」
「来年は、裸にリボン巻いてラッピングして『私がプレゼント♡』って、僕の帰りを待ってて」
「んん……裸にリボンはちょっと……」
「じゃあ、ゆめかの裸エプロンで妥協する」
「悟の中で裸リボンの下位互換が裸エプロンなのは何故」
どうでもいいことを話しながら、睦み合って、戯れ合って、彼の匂いに包まれてベッドに沈む。
嫉妬するくらい滑らかな肌に片頬を預けていると、メイド服の裾から侵入した悟の手が私の生尻を撫で回して足の付け根をさすってくる。
「ご主人様、続きをご所望でしょうか?」
わざと恭しく問いかけると、悟は薄く笑って「もちろん」と耳元で低く囁き、私をシーツの上に組み敷く。
手を伸ばして彼の頰に触れた。
「来年も、再来年も、これから先ずっと一緒だからね」
「ゆめかを手放す気なんて、さらさら無いから安心してよ」
この愛は、いずれ呪いになるだろうか。
お互いに苦しいくらいに喰らい合うように、命を燃やすように求め合うこの愛は。
そう思いながら、昔を思い出して瞳を閉じた。
――――はじまりは、酒に溺れて抱かれた夜。
当時、付き合っていた相手に浮気された挙げ句、私の呪術師としての仕事が多忙すぎて婚約破棄になり、何もかもうまくいかなかった。
任務の帰りにヤケで酒を呷り、酔っていた私の前にあなたは現れた。握り返してくれた手のひらが温かくて、すごく安心したことは今も鮮明に覚えている。
翌朝、記憶が曖昧ながらも我に返り、一晩共にした相手の連絡先も聞けずにホテルから逃げ出した。
こっそりと彼が私の服に忍ばせてた名刺で、件の相手も自分と同じく呪術師だったと気づいた。
→