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【呪術廻戦】私と坊やと、晴れのち○○

第1章 私と坊やと、雨のち雨。






坊やの部屋までの道のりを歩く私の足は軽くも重くも無い。
ただ部屋から部屋までの距離が長くて、それだけが苦である。
本日2度目の欠伸をする私。

すると、廊下の奥からどたどたと騒がしい足音が聞こえてきた。
何だと思う頃には既に遅し。
私の足に衝撃が走り、尻餅をついた。
痛みに顔を歪めながら、うっすらと目を開ければ私の足には真っ白な髪の毛をした次期当主様が、引っ付き虫のようにぎゅっとしがみついている。

「!!おはよう!!」
「おはよう、坊や。いきなり飛びつくのはやめてね。足折れちゃう」
「えへへ。も一緒に行くんだろ?」

聞いちゃいねえ。
ふにゃりと笑う坊やは、出会ったあの日からなぜか私を気に入ってくれたようで、こうして会えば今みたいに弾丸のごとく飛びついてくる。

太ももにぐりぐりと顔を押しつける坊やの頭を撫でて、坊やを引きはがす。
少し不満そうな表情をする坊やだったけど、乱れた御召し物を直して私は小さな身体を抱き上げた。
同じ目線になれば、坊やはすぐに機嫌がよくなり私の首に腕を回す。

「坊やは甘えたさんだね」
「にだけだし」
「はいはい」
「側近になってよ」

いつもこうだ。
壁でもない、世話係でもない、側近になれと坊やは言う。
坊やの一言でいつでも私は側近になれる。
が、3ヶ月間私は五条家の監視下に置かれてる。
アルバイトでいう研修期間のようなもの。
それを超えれば私は坊やの側近として働くことができるけど、正直めんどう。
ただでさえ今も面倒な状況なのに、側近になったら面倒なものがさらに面倒になる。
それを考えると億劫だし自ら面倒なことに首を突っ込みたくない。
それに次期当主とは言え、坊やは現当主ではないから、いくら彼が命令したところでその言葉に力はない。
従う必要性はどこにもないということだ。



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