第1章 私と坊やと、雨のち雨。
――暁side――
6月の午後。
大量の雨が降りしきる中、私は眼前に広がる家に目を見開いた。
うっわ~~~~~~。
でっかいお屋敷だぁ~~~~~~。
古き良き日本家屋、と言えば聞こえはいいが。
もうなんかヤバい。
広さもデカさも尋常じゃない。
「五条」と書かれた門をくぐり抜け、敷砂利が美しく敷かれているけど、これよくみたらなかなか手に入らないと噂の大理石の白玉砂利じゃないか。
うへぇ、こんなん大量に敷いてんのか。
飛石を歩きながら庭を見るけど、すごいとヤバいしか出てこない。
庭木にはマツやヒイラギ、ヒノキなどの主木が植えてあって、中木にはサクラとサザンカ、下木にはツツジにミズキが植えてある。
そして鹿威し。
カコン、と鳴る音が気持ちいいね。
雨だからか、今は鳴らないようにしているみたいだけど。
灯篭もいたるとこにあるし、敷き砂に景石、蹲もある。
めちゃくちゃでかい池もあった。
すげえな、マジで。
やべぇな、マジで。
外でこれだと家の中は一体どうなってんだ。
なんて思いながら私は傘を閉じて、五条家に入る。