第4章 七海健人 覚悟
七海side
「七海サン!そんな浮かない顔してどーしたの?」
仕事終わり
どうしても一緒に夜ご飯に行きたいと言う猪野くんと共にビールを喉に流し込む
「なんでもありませんよ」
あれからさんに会えないまま数ヶ月が過ぎて
ようやく明日
会えるというのに
真っ暗なままの携帯の画面をみて無意識に溜息を吐く
「さん元気です?会いたいな〜!超優しくてさ〜あの可愛い笑顔っ‥仕事もできて‥性格も良くてっ‥それでいてあのナイスバディでしょ?!思い出すだけでビールがうまいっ‥」
ごくりとビールを飲み干す姿を見ながら胸の中がザワザワと騒ぎ出す
今日はまた上に呼び出されたから会議に行くと言っていたが
五条さんも一緒だと言っていた
呪術連盟の上層部に気に入られていて下心丸出しの奴等に呼び出されるのはいつもの事だ
その度にあの多忙な五条さんがついていっていたのを知ったのは付き合ってからの事
今から五条さんと帰ると連絡があったのが数時間前
とっくに呪術高専に帰ってきていてもおかしくない時間だったが
メールの返信はおろか
電話も繋がらず
急にパッタリと連絡が途絶えてしまった
圏外を伝える機械の音
「すみません猪野くん‥やっぱり帰ります」
「えっ?!七海サン?!もしかしてさんに何かあった?!」
「では、お先に」
机に自分の分と猪野くんの分のお金を置いて立ち上がる
そのまま呪術高専へと向かうと家入さんがまた頭を抱えていた
「さんと五条さんは?」
「うわっ?!びっくりした‥」
「まだ帰ってきていないようですが‥何かトラブルでしょうか?」
「ん〜‥そう‥だね‥」
歯切れの悪い返事
嫌な予感が的中した気がした
「例の部屋ですか?」
「確証はないけどね‥」
「消えた位置は?」
「今伏黒達が向かってる」
家入さんからその場所を聞き出して
すぐさま現場へ向かう
昔っから事件に巻き込まれやすい人だったが
本当に厄介な事件にばかり巻き込まれる
伏黒くん達より先に辿り着いた現場
そこには見覚えのあるハンカチが落ちていた