第4章 七海健人 覚悟
五条side
ここ最近
嫌な事件が相次いでいる
呪術師への嫌がらせとも言うべきか
趣味の悪い嫌がらせ
術式では破ることの出来ない
タチの悪い媚薬を飲み干さないと出る事の出来ない部屋へと閉じ込められる
そんな生得領域の中に七海とが閉じ込められたと連絡があったのが数時間前
急いで駆けつけた呪術高専の医務室の前
珍しく余裕をなくした七海がメガネの奥から僕を睨みつける
その腕の中にはの姿
どれだけ飲んだか知らないけど
真っ赤な顔して苦しそうに息をしている
ただでさえ色気がすごいのに
空気だけで伝わってくる程の妖艶な空気に思わず息を呑む
「退いてください‥急いでるので」
「嫌って言ったら?」
「今は五条さんに付き合っている時間はありません」
「を渡してくれたらすぐに退くけど?」
七海の額から汗が伝う
必死に押し殺しているであろう感情が荒い吐息と共に溢れ落ちる
本来であれば
当事者同士で解決するのが望ましい
七海もそれを口にしているのだから
それでも
の事はどうしても僕が救いたくて
こうやって嫌な意地悪をしてしまう
「僕がを楽にするから‥七海は他でなんとかできるだろ?」
一向にその身体を離そうとしない手に触れようとするとバッと振り払われた
「五条さんがさんの事を好きなのは知っています‥でも、私だってその気持ちは同じです」
「僕の方が愛してるけど?」
「私だって愛しています」
お互いに譲らずにバチバチと視線が絡み合う
その時に閉じていた目がゆっくりと見開かれた
『さ‥とる‥?』
可愛い声
僕が 出会った時から惚れている
こんなところで
七海にとられてたまるか
本当の事を言えば
1番近くで
ずっと見てきたから分かる
鈍感だから本人達は気付いてないみたいだけど
は七海に惹かれていた
「単刀直入に言うけど、僕に抱かれてくれない?」
「さん‥私を選んでもらえますか?」
突然の選択に熱で潤んだ瞳の奥が揺れる