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リクエスト 裏短編集♡

第3章 両面宿難 終わらない続き


後ろから激しく打ち付けられてもう意識が飛びかけていた



それでも

これだけは
次に宿難に会うことがあれば伝えなきゃと思っていた言葉を思い出して




ほとんど残っていない気力を掻き集めた





「なんだ?」




何かを不審がるような
少し不機嫌そうな宿難の声が背中越しに聞こえる





『助けて‥くれて‥ありがとう‥ございま‥す‥』



呪霊と対峙したあの日



助けてもらえていなかったら今私はここにいなかった



宿難が
私の命を繋いでくれた



呪いの王で
たくさんの人を苦しめてきた



私達呪術師の宿敵



祓わなければいけない相手




それでも
命を救ってもらえたおかげで私もまた皆の命を救うことが出来る


全身から力が抜けて
霞みゆく意識の中



最後の力を振り絞って後ろを振り返ると
驚いたように目を見開いた宿難と目があった




呪いの王




その威圧感に身体が震えてしまうのに
今目があっている宿難は普通の男の人みたいな表情をしていた




なぜかその表情に胸がとくりと音を立てて



初めての感情に少し困惑しながらも
引き摺られるように意識が沈んでいく




「礼を言われたのはお前が初めてだ‥変わった奴」




声のトーンが優しくなる
キツく縛られていた手首を解放されて



あたたかな体温を感じる




抱き締められている気がして




あったかくて





眠くて眠くて





なんだか好きな人に抱き締められているような安心感に張り詰めていた空気が一気に緩んで意識を手放した





宿難の前で眠ってしまうなんて呪術師として失格かもしれない




それでも優しく頭を撫でられている気がして
心はとても穏やかだった




宿難と交わした縛りなんて
私は何もかも忘れてそのまま深い眠りについた





次に目を覚ました時は窓の外がとっくに明るくなっていて
取り乱した虎杖くんが頭を抱えていた




「えっ?!何これっ?!えっ?!俺なんかした?!なんでちゃんも‥俺も‥服着てねーの?っ!」



『虎杖くん‥だ‥』




「ほんっとーにごめん!!俺、なんも記憶なくて!!」



『私も‥昨日の夜の事はあんまり思い出せなくて‥』




「とりあえずこれっ‥!俺、後ろ向いとくから!」
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