• テキストサイズ

リクエスト 裏短編集♡

第3章 両面宿難 終わらない続き


宿難side



抑え込まれていたものが
解かれていく




身体に力が漲っていく感覚





強い呪力を感じて



さっきまではいなかった白髪の男に飛び掛かろうとすると
気付けば眼前にはボロボロになって頭から血を流している男と


その男に強く抱きしめられている小娘の姿



自分の所有物をとられたような
えらく不快な気分




背中に感じる重みに素早く身体を反転させて殴りかかるが簡単に何度もかわされる



力を完全に取り戻していない身体
まだ動きが鈍く気付けば背中合わせに白髪の男がいた




「は僕のものになる予定なんでね‥手を出さないでもらえるかな?」




軽い調子で言っているように聞こえるが
少し怒りが滲む声色



この男もどうやらこの小娘に惚れているらしい





それなら尚更この男は殺しておかねばならないが
恐ろしく早いのか攻撃を全てかわしていく




「いつの時代も厄介なものだな‥呪術師は」




この小娘は俺のものにする



邪魔者は全て排除する






建物を抉り取る勢いで攻撃をすると飛び散った瓦礫が煙を上げる





勝利を確信した時だった





風に吹かれて煙が薄れていくとにやりと口角を上げる白髪の男





何を話しているのかと思えば数字を数えている





「7‥8‥9‥そろそろかな‥?」





勝ち誇ったような笑み
小娘に手を伸ばそうとするとどくりと心臓が音を立てる






「くそっ‥また‥だ‥乗っ取れない‥この虎杖とかいう小僧‥一体‥何者‥だ‥‥娘‥は‥あとで必‥ず‥‥」





引き戻される小僧の意識



横目に手に入れたかった女を見ながら
虎杖の奥底へと引き摺られていく




そしてまた表にでられたのは

数日後
同じく深夜





小僧の意識が深く眠りに落ちた時





僅かに光を感じて目を開くと腹の辺りに感じる重み





『ん‥‥虎杖くん‥?大丈夫‥?目が覚めたの‥‥良かったぁ‥』




気の抜け切ったような緩んだ笑顔




『急に倒れちゃうからびっくりしたよ〜気持ちよさそうにすやすや眠り始めたから良かったけど』



大きな瞳は澄んだ淡い茶のような色で
全てのものを魅了して引き込んでしまいそうな程の引力があった




『虎杖くん‥大丈夫?』

/ 160ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp