第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
「ん〜‥?んっ?!」
寮にたどり着いたのは19時頃
昨夜の報告書を提出して
ご飯も食べて
お風呂も入って
ほかほかした身体で寮を歩いていると突然目の前に現れた五条先生が目隠しをずらしてじっと私を見つめている
『五条先生っ?!』
「しーっ!ちょっとこっち‥!」
ちょいちょいと手招きされると休日で誰もいない稽古室へ連れ込まれる
『今から稽古ですか‥?』
碧い瞳に見つめられて先生を見上げると
腰に手を回されてグッと身体を引き寄せられる
あっという間に
五条先生との距離がゼロになった
「まさか‥‥この隠しきれない‥ダダ漏れの色気‥‥」
『五条先生っ‥?』
片手で腰を抱かれたまま
もう片方の手が顎を掴んで上を向くと先生の顔がさらに近くなる
「仕方ない‥‥もう強行突破するしか‥」
『あ‥のっ‥‥』
身長の高い五条先生がぐっと腰を屈めて
唇が触れてしまいそうなほど近い距離にどうしたらいいか少し戸惑っていると突然稽古室の扉がバーンと開かれた
「なに盛ってんだよ」
「おかかっ!」
「真希?!棘っ?!」
「まぁが可愛くて巨乳で可愛くてどうしようもなく可愛いのは分かるがな‥」
「パンダまで?!」
『えっ?!真希ちゃん?!に棘くんにパンダくんまで?!』
突然現れた3人に呆気にとられていると真希ちゃんが五条先生から私を引き剥がす
「じゃーなー」
『えっ?!あのっ‥五条先生置いてきちゃって大丈夫なのかな‥?何かお話があったのかも‥』
もしかしたら中々一級に上がれない私の為に稽古をつけてくれようとしたのかもしれない
ちらちらと稽古室を振り返ると真希ちゃんと棘くんが大きな溜息をつく
「はぁ‥無事で何より‥‥悟に喰われる前でよかった‥」
『えっ?』
ガッと肩を抱き寄せられると真希ちゃんがニヤリと笑う
「まぁその点憂太は淡白そうだしな‥‥いや‥逆か?」
『淡白‥?』
「まぁなんにせよ、お帰りとお疲れってことで」
『うんっ!ただいまっ!』