第6章 乙骨憂太 君の全てに嫉妬する
乙骨side
何をどうやったのか
どうやって気持ちを伝えたのか
ちゃんとどうやって付き合えたのか
あの日の事は舞い上がっていてよく覚えていないけど
とにかく僕たちはお付き合いする事になった
と言っても何がいきなりどう変わるでもなく
いつもの様に日常を過ごしていた
『喉大丈夫‥?』
「しゃけぇ‥」
心配そうに喉のスプレーを手渡すと優しい顔で狗巻くんが笑う
ちゃんと狗巻くんは仲良しだ
これも
いつもの日常の風景
昨日の夜2人は合同任務だったから
その話をしているだけなのに
なんだか胸がモヤモヤしてしまう
「‥‥嫉妬深い男は嫌われんぞ」
「へっ?!ぜ‥‥真希さん?!」
「こんなんでいちいち嫉妬してたらの彼氏やってけねーからな」
少し面白がる様に禅院さんが頬杖をついてにやりと笑う
「嫉妬してるつもりはないんだけど‥ちゃんに嫌われるのは嫌だ‥」
「まぁせいぜい頑張れ」
「いてっ‥」
おでこにデコピンをすると禅院さんは狗巻くんとちゃんの方に歩いて行った
そもそも
どうしてちゃんは僕なんかと付き合ってくれたんだろう
ふと目が合うとまた花のような柔らかな笑顔で僕をみる
あの子が僕の彼女だなんて
いまだに夢みてるみたいだ
「あの〜‥昨日の報告書の事で聞きたい事があるんですけどさんって今大丈夫ですか?」
『あっ!はいっ!大丈夫です!』
じっとその姿を目で追っていると
黒い服を着た若い補助監督の男の人と共に教室から出て行ってしまった
「昨日の報告書の事なら棘も呼べばいーのに」
「しゃけしゃけ!」
パンダくんと狗巻くんがうんうんと深く頷く
「憂太‥あんまり遅かったらあの2人見に行った方がいい」
「分かった‥」
暫くして
そわそわと廊下の方を見てみるけれど中々帰ってこないからすぐに教室を出て職員室へ向かう
「あの‥さんみませんでしたか?」
職員室にいるかと思って覗き込んだけどそこにいたのは他の補助監督さん達だけだった