第5章 乙骨憂太 嫉妬
乙骨side
「何ボケっとしてんだ‥やられるぞ」
真希さんと駆け付けた病院の中には呪霊が次々と湧き出るように現れて
その対応に追われていた
集中しないといけないのは分かってるけど
あの2人がどうも気になって仕方がない
「棘となら大丈夫だ‥あの2人がやられるはずない」
な?といって呪具を華麗に捌いて呪霊を次々に倒していく真希さんは見事だった
それでもキリがない程に溢れてくる呪霊達に随分時間がかかってしまってようやく五条先生に報告の電話をする頃には日が傾き出していた
「お疲れ〜!!気をつけて帰っておいでよ2人とも」
「あのっ‥狗巻くんとちゃんは無事ですか?」
「‥無事だよ〜」
ほんの一瞬
電話口の向こうで先生が言葉に詰まった気がした
命は無事かもしれないけど
きっと何かあったんだ
迎えに来てくれていた補助監督さんの車に乗り込んで急いで呪術高専へと戻ると五条先生が自分の部屋へ案内してくれた
詳しい事は何も教えてくれなかったけど
ひどく落ち込んでいる様子の狗巻くんには何か聞こうとは思えなかった
ベッドですやすやと眠るちゃんの姿
しばらくするといつもみたいに可愛く目を覚ましてホッとしたのも束の間
狗巻くんをギュッと抱きしめるから慌てて2人の間に入って距離を保つ
『心配かけてごめんね‥』
暫くして
五条先生の部屋から自室へ帰る許可が降りたちゃんと寮へ向かう廊下を歩く
「無事で良かったよ〜‥ほんとに」
ちゃんに何かあったら
僕は自分がどうなってしまうかも分からない
『部屋‥入らないの?』
自分達の部屋の前について
小首を傾げる
「離れたくないって言ったら‥困る?」
『っ!!困らない‥』
ぱっと頬をピンク色に染めるちゃんの手を取って自分の部屋の中に連れ込んだ
「五条先生となにかあった?」
『っ?!』
ベッドに腰掛けるなりずいっと顔を近付ける
「五条先生の顔‥必死に何か堪えてるみたいだった」
『えっ?』
「僕達がくるまで2人で何してたの?」