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リクエスト 裏短編集♡

第1章 夏油傑 奪ってでも欲しいもの


夏油side






あの日のの顔は一生忘れない






『すぐる‥‥?』





悟の後ろで怯えたような
ひどくショックを受けたような君の目を






「夏油様?大丈夫ですか?」




「あぁ‥少し昔の事を思い出していてね、大丈夫だよ」




美々子と菜々子がホッとしたような顔で笑う





その制服姿をみると
高専時代に笑い合った友と



また忘れられないとの思い出が次から次へと溢れ出してくる



胸の奥にどす黒いモノが積み重なっていって



息をするのすら苦しくなっていた日々の中





4人で笑い合った時間は嫌いじゃなかった


むしろ楽しくて輝いていた






「傑‥‥の事泣かしてんじゃねぇよ‥」




親友は苦虫を噛み潰したような顔で最後にそう吐き捨てた






遠いような


近いあの日の記憶






もう諦めたつもりだった




すぐに忘れられると思った





「困ったね‥‥私はどうしてもの事が諦められないみたいだよ」





独り言をまた呟いて立ち上がる



「夏油様どこへ‥?」




「前言っていた乙骨憂太を見てくるよ‥夜には帰る」



袈裟を羽織って
今はもう廃れた商店街へと向かう




乙骨憂太





私の目指す世界の為にはこの子を手に入れなければならない





そう思いながら目的地に出向いたが




見覚えのある後ろ姿に一瞬呼吸を忘れそうになる






『2人とも‥っ‥怪我大丈夫‥?!』





愛らしい声



あの頃と殆ど変わらない背格好




白衣を着ていてもそれがすぐに誰だか分かった







「やっと見つけたよ‥‥‥やっぱり高専にいたんだね」






硝子と共に反転術式を使えるの事だからきっと高専にいるだろうと思っていた





気分がどんどんと高揚していく



高専の時から想いを寄せていた




悟と共に恋心を胸に秘めたまま過ごした学生時代






傷付けたくなくて一度は離した手




自分勝手に傷付けたとしてもどうしてもが欲しくなった








「左薬指に指輪‥‥か」






親友の顔が思い浮んで薄い笑いが溢れる
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