第8章 黒か青か (悟ルートへ)
携帯の画面を覗き込んでみると、「夜ふかしすんなよ」の一言だった。
五条先輩のメールは素っ気ないけど、傑お兄ちゃんと同じようなことを言う。
先輩まで私を子供扱いするのかと、ムッとした。
「桃鉄で完徹してた五条先輩には言われたくないですね」
「桃鉄やりたいなら俺の部屋に来るか?」
「行きません」
「冗談に決まってんだろ 早く寝ろ」
そんなやり取りをしながら、五条先輩が携帯の画面の向こうで、私をからかって笑っているのがありありと想像出来る。
一番最後に、先輩から送られた「おやすみ」の文面に、なんとなくそわそわして落ち着かない気持ちになる。
まるで、付き合っているようなメールのやり取りみたい。一瞬、そう思った自分を恥ずかしく思い、頭を振る。
そういう甘ったるい雰囲気じゃないし、五条先輩は、脅迫なんて名目で私を弄んでいるだけだ。
湿気が高くて蒸し暑い夏の夜。
エアコンのリモコンをベッドサイドのテーブルに放り、もう何も考えたくなくて、枕に顔を突っ伏した。
その日、布団に横になって目を閉じても、昨夜に五条先輩から肌に口付けられた恥ずかしい瞬間を思い出してしまい、私はベッドで変な呻き声を上げてしまった。
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