第6章 恋い蛍✿
それだけで甘い声が漏れてしまって恥ずかしくなるが、傑は気にしていないようで、むしろ嬉しそうな表情を浮かべていた。
「……ずっと好きだった」
彼はそう囁きながら何度もキスをしてくるので、私は頭がくらくらしてきた。
太ももに擦り付けられ、傑のものが既に硬くなっていることには気づいていたけれど、彼が私の名前を呼ぶ度に愛おしさが募ってしまって、拒むことはできなかった。
「もっと、ゆめが欲しい」
傑の切なげに揺れる瞳から目を離せない。
何度も貪るようなキスを繰り返している内に段々と気分が高揚してきてしまい、彼の言葉通りに「もっとして欲しい」という気持ちを抑えることができなくなってしまった。
無意識のうちに腰を揺らしてしまっていたようで、傑はくすりと笑うと、私の耳を甘噛みしてくる。
「あっ……」
不意打ちに驚いて声を上げると、今度は首筋を舐められる。傑の熱い舌が肌に触れる度にぞくぞくとした感覚に襲われて、私は身を捩らせた。
しかし、彼はそれを許さないとでもいうように私の身体を押さえつけると、執拗に舌を這わせる。
そのうちに唇へ移動すると、キスをされるのかと思い目を閉じたのだけれど、何も起こらなかった。
「……傑?」
体調不良かと一瞬焦ったが、私の首元から穏やかな寝息が聞こえてくる。まさかの抱き合った態勢のまま、傑は眠ってしまったようだ。
私の胸を枕にしたまま爆睡する様子に、火照ったこの体をどうしてくれようかと、わなわなと震えた。
彼の寝顔を見ていたら、そんな怒りは長続きもしない。私は小さく呆れのため息をつくと、薄っすらとクマが残っている傑の目元にそっと触れた。
彼は小さく身じろぎをして、私をぎゅっと抱き締めてきたので驚いたが、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきたので安堵した。
子供のような無防備な姿を見ながら、今日のことで疲れているんだろうと思ったので、タオルケットを引っ張ってきつつ、ベッドを占領する大きな図体に掛けてあげる。
「知ってる?私の初恋も傑だよ」
聞こえていないだろうけど、私もカミングアウトの返しを呟く。
傑の黒髪をそっと撫でて、彼に寄り添いながら、私もそのまま目を閉じた。
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