第4章 決意の告白
「お兄ちゃん、大事な話があるの」
シャワーから部屋へ戻って早々に、見慣れた広い背中を見つけて話し掛ける。
ベッドに座って本を読んでいたその人は、「やっと話す気になったか」と言いたげな表情でこちらを向いていた。私の覚悟と本音を伝えるのは今しかない。
「……悟のことだろう?」
「うん、それもあるけど……」
傑お兄ちゃんと二人きりの空間に、少しの間沈黙が流れる。いつもと変わらない優しい眼差しに見つめられると、自然と鼓動が速くなった。
話をどう切り出せばいいかと迷っていると、お兄ちゃんは読んでいた本をパタンと閉じてから立ち上がった。
「ゆめ」
穏やかな声音で名前を呼ばれ、おずおずと近寄る。
優しく手を引かれて、流れるようにベッドに押し倒されると、シーツの上に縫い止めように手首を押さえつけられる。
私を捉える黒い瞳は微動だにしない。
表情から何を考えているのかは、読み取れない。
「このまま、ゆめを部屋に閉じ込めておきたいと言ったらどうする?」
いつもの冗談とは思えない、真剣な眼差しが向けられる。傑お兄ちゃんが本気で言っていることは、何となく察していた。
もし、あなたがそれを望むなら、それでも構わない。
私にとっての世界は、あなたが居て初めて輪郭と色彩を帯びる。
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