第3章 相互依存✿ (傑ルートへ)
何回お互いを貪ったか忘れるくらい性欲の限りを尽くした後、私たちは裸のままで抱き合って眠った。
翌日、早朝にシャワーを浴びた後に鏡を見ると、全身くまなく赤い痕が残っていた。
首から鎖骨にかけて、特にたくさんつけられていて、まるで花びらを散らされたようだと思う。
私の恋人は、意外と独占欲が強いらしい。
「はは……これじゃあ、夏服着れないじゃん」
鏡の中の私はそう呟いたが、不思議とその表情は満更でもなさそうなものだった。
『本当に傑を好きなら、なんでそんなに不幸のドン底にいるような顔してんだよ』
なぜか、五条先輩の言葉が脳裏を掠める。
私は傑お兄ちゃんのことを愛している。
この気持ちに嘘偽りはない。
ただ、私と傑お兄ちゃんの恋愛には、決して爽やかではない、仄暗い影のようなものが付き纏う。
「……わかってる。きっと、お互いが依存してるだけだって」
ぽつりと、独り言のように言葉を零す。
私たちの関係は決して綺麗なものじゃないし、どこか歪だ。けれど、それを含めて幸せだという自信がある。
呪術師は辛いことが多い。
私はまだ一年生だけど、既に凄惨な現場も見た。
心の拠り所を見つけなければ、精神を病んだ末に辞めていった術師も少なくはないと聞く。
私達は、お互いに生きていることを実感する、かけがえのない存在。
―――いつか、この関係が壊れる時が来たとしても、私は今を大切にしたい。
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