第3章 相互依存✿ (傑ルートへ)
高専に戻り、お昼を食べようと三人で食堂へ向かうと、二年生の先輩方の姿が見える。
傑お兄ちゃんを慕っている灰原くんはすぐに駆け寄ろうとしていたが、後ろから七海くんがその肩をガシッと掴んだ。
「灰原、今はやめた方がいい」
その言葉の意味を、私も灰原くんも理解出来ていなかった。
二人で七海くんの方へ振り向くと、
「何やら、先輩方の間に険悪な空気が漂っています」
そう言われ、改めて先輩方を眺めてみると、傑お兄ちゃんと五条先輩の間に、目に見えない火花が散っていて、ピリついた雰囲気がある。
二人に挟まれている家入先輩はどこ吹く風といった様子で、私達の視線に気付いたのか、手をヒラヒラと振ってくれた。
私は笑顔を浮かべたが、隣にいる七海くんは表情を変えず会釈していた。
灰原くんだけが嬉しそうに、夏油さーん!と言いながら走っていくものだから、私も仕方なくそれについて行く。
三人で先輩方に形式的な「お疲れ様です」を述べた後で、
「お兄ちゃん、お疲れ様」
何も気付かなかったフリをして、傑お兄ちゃんに声を掛けた。
「ああ、おかえり。任務はどうだった?」
いつも通りの優しい微笑みを見て、私は少しだけ安心した。疲れも吹き飛ぶような気がするから不思議だ。
「問題なかったよ。あのね、今日は一年だけで調査に行ったんだけど……」
「そうか、皆も無事か。良かったね」
「うん、それでね……」
私は、先程の出来事を話そうとしたのだが、いつの間にか五条先輩との間にあった緊張感のようなものが無くなっていることに気付く。
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