第11章 可惜夜✿
身体中の筋肉が強ばって腰が浮く。
目の前がチカチカと点滅したような感覚に襲われながら、彼のものを離さないと言ったようにさらにぎゅうっと食い締めた。
「っ、やば……俺もイクっ……」
やがて何度目かの絶頂を迎え入れた。
脳みそが溶けるんじゃないかと思う程の強い快楽に、私は声も出せずに達してしまった。
目の前が白んで、霧が晴れるように意識が戻ってくると、お腹の上に生暖かい液体がかかるのを感じた。
五条先輩の手の中で震えているモノの先端から、白濁液がお腹の上に垂れてきていた。
マーキングでもするかのように、私の腹部に飛び散った精液。彼が吐き出したものだと思うだけで身体が火照ってくる。
「は……っ、はぁ……ゆめ……」
こちらを見つめるのは、濡れたように光る青。
額に汗を滲ませながら薄く微笑んでいる彼を見て、気恥ずかしくて顔を逸らしてしまう。
「なーに、怒ってんの?ゆめ」
五条先輩は一度額をコツンと合わせた後、体を起こして飛び散った大量の精液を拭き取って処理してくれる。
さっきまでの獣じみた表情とは打って変わって、愛おしげに私を見つめてくる視線に居たたまれなくなる。
彼はもう一度私の顔に優しく触れ、頰や目尻にも軽く触れるだけのキスを落とす。
それが少し擽ったくて肩を竦めて逃げると、彼は不満げに顔を覗き込んできて、最後に唇同士が触れるだけの軽いキスをしてくる。
「俺の卒業式の時に、答えを聞かせてくれ」
「先輩の卒業式……?」
私が瞬きして問い返すと、五条先輩は少し考えた後に自嘲気味に笑った。
「真面目なハナシ。卒業したら嫌でも俺は五条家当主。卒業した後も一緒にいるってゆめが決めたら、嫌でも周りは『嫁候補』として見るんだよ。利用しようとする奴、足を引っ張ろうとする奴、それこそ呪霊みたいにわんさか出てくるってワケ。いつでもジェットコースターみたいな生活を送りたいってんなら、大歓迎するけどな」
そう言ってウィンクし、五条先輩の指先が私の胸の心臓のあたりをツンツンと突っつく。
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