第11章 可惜夜✿
「はっ、ぁ……悪い」
荒く息を繰り返す五条先輩の声が聞こえる。
私は顔に付着した体液を拭い、もう一度根元から舐め上げるようにして綺麗にしていく。
最後にチュッと先端に吸い付くと、残滓が出てきたのでそれも余さず飲み込んだ。
「ゆめ」
五条先輩の手が私の頰を優しく撫でてくれる。
大きくて温かい手のひらに安心感を覚えると同時に、もっとして欲しいという欲求が頭をもたげた。
五条先輩を見据えて手に擦り寄ると、彼の喉仏が上下するのが分かった。
「ふふっ、先輩も気持ち良かったですか?」
「……こんだけヒトを煽っておいて、ただで済むと思うなよ。ピーピー泣いても止めないからな」
ギラついた目で脅し文句を言われても、とっくに私の理性のタガは外れかけている。
無言で見つめ返しながら頷き、こちらもいそいそと浴衣を脱ごうとすると、五条先輩にストップをかけられた。
「脱がないほうがエロくね?」
「そ、そういうものなんですか」
「俺の選んだ浴衣を着たヤツが、俺の手で乱されて、求めてくる……これ以上ないくらい、最高だろ」
そんな発言をされてしまうと、体が目の前の男性を欲し始める。
「私……さっきから身体が変なんです」
胸が切なくて苦しくて、涙が出てきそうだ。
許しを求めて腕を伸ばすと、彼は黙って抱き締めてくれる。大きな背中に腕を回して肌に顔を埋めると、汗の匂いがするのに嫌じゃなくて、なんだか心地良い。
そのまま綺麗な首に唇を押し付けると、五条先輩に腰を引き寄せられる。
「……俺が仕込んだ薬の効果は、もうとっくに切れてる。オマエだって気付いてんだろ」
口淫していた時から疼いてしまっていた膣内は、もはや待ちきれないと言った様子でひくついているのが自分でもわかる。
早く欲しくてたまらないという様子で収縮を繰り返していた。
「……あの……私……」
あなたを好きになったかもしれない。
なんて言ったら、惚れっぽい私に呆れるだろうか。
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