• テキストサイズ

【呪術廻戦】薄夜の蜉蝣【R18】

第9章 桔梗の君


覗き込んでくるのは、白い睫毛に縁取られた綺麗な青い瞳。それが、私の心を見透かすみたいにじっと見つめてきて、どうにも目が逸らせなくなる。

五条先輩の目が細められる。

悪戯を思いついた子供のような笑みで、先輩が私に顔を近づけてきたかと思うと、耳朶にふっと温かい吐息がかかる。

「オマエのそういう初心な反応が、傑を煽ってんのかもな」
「なっ……何言ってるんですか」

耳にかかる吐息に、ぶわっと顔中が沸騰したみたいに熱くなる。そんな私を見た五条先輩は、喉を鳴らして楽しそうに笑った。

きっと、この人は私をからかって遊んでいる。これは、絶対そうだ。

悔しい私は、五条先輩の胸をグイグイ押し返しながら抵抗する。

「この程度でテンパってんなよ」

余裕を見せる先輩は愉しげに言い、私の手首を掴むと、さらに距離を詰めてくる。

整った顔立ちがすぐそこにある。

青い瞳に私の姿だけが映り込むのが見えて、思わずギュッと目を閉じてしまった。

けれど、いつまでも触れられない気配に恐る恐る瞼を開けると、五条先輩の顔は少し遠ざかっていた。

ホッとしたような残念なような気持ちに駆られていると、彼の唇が弧を描く。

隙をついて再び顔を寄せられてしまい、鼻同士が触れた。

「……ん……っ」

最初、自分の唇に触れたものが何か分からなかった。

視界が五条先輩で埋められる。

逃げようとした私の顔の横には、既に彼の手が添えられていた。

鼻と鼻が触れ合いそうな距離に一度離れると、再度優しく唇が重ねられた。

「や……」

首すじがゾクゾクした。我に返って顔を逸らそうとすると、角度を変えて口を塞いできて、彼の白くて柔らかい髪が肌をくすぐってくる。

様子を窺うように繰り返される、甘くて体がざわめく感触。空気を求めて無意識に開いた唇は、否応なしに彼の熱を受け入れてしまった。

体を引いても、湿った熱が追いかけてくる。

抵抗する度に、唇の隙間から艶かしい息が漏れた。何度も舌先で軽く撫でられたり、強く吸われたりして、段々と思考が溶けていく。



/ 212ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp