第13章 薔薇の庭園
「はっ! はぁ!」
私が薔薇の庭園で剣の素振りをしていると、誰かが近づいてきた。
「今日も励んでいるのね」
「ロード様……!」
私は素早く剣を仕舞って膝をついたけれど、大丈夫よとロード様は声を掛けてくれる。
私は促されるまま顔を上げると、ロード様は側近もつけずに城の外に出てきたのだと気づいた。私は咄嗟にこう言った。
「一人でお城の外に出るのは危ないですよ」
言ったあとに、この言い方は失礼だったかなと思ったけれど、ロード様は優しく微笑まれて、
「ええ、そうね」
って言うだけだった。
「私に何か用事でしたか?」
とりあえず、ロード様に用件を聞いた私に、ロード様はただ顔を見に来たのよと返答なさった。ならティータイムでもしましょうかと、私は薔薇庭園の中央にあるガゼボへ案内する。白い柱にウッドカラーの屋根があるガゼボで、私がここのヒーローになって「薔薇の騎士」を名乗った時、ロード様が用意してくれた庭園の一つだ。