第14章 三毛猫の独白。クロ猫の噛み跡
最近、思う事がある。
「クロ〜、今日の練習メニューなんだけどさ…。」
「何、どっか変なのあった?」
「いや、1年も慣れて来たしここ回数増やしても良いんじゃないかなって。」
「なるほどね。」
「ちょっと、汗ノートに落ちる。」
「お、悪い。」
部活中、クロとの距離が、近い。近過ぎる。の後ろにクロが立って、後ろからノートを覗き込んでるけど、掌差し込める?ってくらいにぴったりくっついてるし、は手に持っていたタオルをクロの頬にあてて拭う。普通引き離すとかじゃない…?
「……研磨?どうかした?」
「けーんまァ、お前も混ざりてぇの?良いぞー、一緒に見るか?」
「いい。見てるこっちが暑苦しい…。」
当の本人たちは全然気にしてないけど、傍から見たら異常だと思う。付き合ってない人間の距離感じゃない。いつからだっけな…この2人がこんなに暑苦しくなったの。一緒に暮らし始めてから?
「そんなつれない事言わないでよ研磨ぁ〜、一緒に筋トレメニュー増やそうよ〜。」
「余計やだよ。ちょっと、こっち来ないで。」
ノートをクロに押し付けて後ろから抱き着いてくる。もう慣れたけど、シンプルに暑い。部活中だから尚更。
「コラ〜、研磨が溶けちまうでしょうが。離してやれー。」
「嫌だー。」
「暑い……。」
たまに、いや…最近、凄く考える。例えばクロとが付き合ったとして。おれたち3人の関係って、変わるのかなとか。2人で過ごす時間が圧倒的に増えて、おれとはあんまり遊ばなくなるのかな、とか。早く付き合えばいいのにって思う反面、それが少し怖いなんて、らしくない事を考える。
「……研磨?」
「なに?」
「何か考えてる?」
「別に何も。」
「はい嘘ー、目ぇ逸らした!黒尾くんこの子嘘ついてまーす!」
「どうした研磨、悩み事か?まさかバレー辞めたいとか言うんじゃ…」
「言わないよ。別に悩んで無いし。」
「ほお?言わないなら擽り倒してやろうか?なぁ。」
「任せなさい!」
「辞めて。」
ニヤニヤ笑うクロを睨む。
…この2人、結構鋭いんだよね。こんな事考えてるなんて絶対バレたくない。