第13章 黒猫、揺蕩う
それぞれ注文を済ませ、程なくして届く。私は小さめのドリアと黒猫のパンケーキにカフェラテ、侑と治は大盛りのナポリタン、スナリンがデミグラスソースのオムライス。
賑やかになったテーブルで早速食べようとカトラリーを手にした所をすぐ様止めた。
「折角だから4人で写真撮ろうよ。後双子の写真撮らせて。」
「俺ら2人の写真撮る意味ある?」
「東京戻った時寂しいから見返す用やろ!」
「昨日声掛けてきた子たちと仲良くなってグループ作ってん、送ったろと思って。ちゃんとバレーも好きな子やったわ。」
「やば。この子案外コミュ力お化けじゃん。」
「多分バレー好き限定コミュ力やで。」
「なぁ、つまり俺ら知らん女の為に今写真撮られとるん??」
「ほらほらかっこええで治、侑!」
囃し立てればとりあえずピースくらいはしてくれる双子をスマホのカメラで収める。その後インカメにして今度は4人写した状態で写真を撮った。後は猫のパンケーキが届いてから写真撮ってクロに送ったろ。
「って男子バレー部からさぞモテるんじゃない?」
「急に何!?モテ………モテてるかもわからん。というか最近絶対モテ期来とる。バレー部限定で。」
「え、何俺らというイケメン捕まえときながら浮気する気なん?」
「そもそも付き合ってないやん。」
「彼氏欲しいとは思わないの?」
「大学入ってからでええかなぁ。今1番忙しい時期やんか。受験とインハイと春高と。無理に今欲しいとは思わん。」
「春高終わったら俺と付き合おうや!」
「ほらやっぱ私モテ期来てる!」
「俺らはノーカンやろ、何年前からお前に好き好き言うとると思ってんねん。なぁツム。」
「この2人そんな前からにアタック掛けてはフられてんの?」
「ちなみに私のどこが好きなん?」
「「顔。」」
「シバいたろか。」
もっと他に有るやろ!!顔て。しかも揃って顔ってコイツらほんま可愛くないな!
不貞腐れながら熱々のドリアをスプーンで掬って口に頬張る。ホワイトソースが濃厚で美味しい。頬に手をあて味わいながら咀嚼していると、正面の治と目が合った。そして彼は口をあーん、と開きそこを指差す。
「なぁ、ドリア1口ちょーだい。」
「ええよ、ナポリタンと交換やで。」