第12章 黒猫、狐に逢う
「キャー!治ー!!ここに暴漢が!」
「無抵抗の女子に手ぇ出てたって北さんに報告しとくわ。」
「北さんだけはあかんって、辞めたって!!」
「次風呂借りんで〜。」
騒ぐ2人を無視して侑の腕の中から抜け出し、リュックを持って脱衣場に向かう。…全く、顔だけは良いんだからな顔だけは。
借りたジャージは洗濯機に投げ込み自分の服はリュックにしまって着替えを用意しておく。それから私、侑の順で風呂を終えると2人の部屋に集まってゲームをして遊びまくった。こういう事すると凄く懐かしくて、昔を思い出す。よくどっちかの家に集まってはゲームしたりバレーの動画を見せたりしてたっけ。日付が変わった頃、流石に眠くなり欠伸を零す。
「そろそろ寝るか〜?」
「ベッド使ってええで、俺布団で寝るわ。」
「いや、俺のベッド使いや!」
「出来れば下がいい、上登るのめんどい。」
「なら俺やな。」
「ぐぬっ…!!」
悔しそうに声を詰める侑。というかこの2人まだ2段ベッドで寝てるの微笑ましいな。
コントローラーを元の位置に戻し、部屋の電気を落としてから治のベッドを借りる。別に床でも良かったんだけど貸してくれるなら有難く借りちゃおう。明日が部活だったら全然話は別だったけど。
「おやすみ、また明日〜。」
「おやすみー。」
「おやすみ。」
*黒猫、狐に逢う*
(そういえばさっきの稲荷崎のジャージ着た写真クロに送ったら死ぬほど鬼電来てた)
(は。何、主将から?彼氏!?付き合うてんの!?)
(いや、同居人)
((同居人!?))