第11章 黒猫、嫉妬する
「研磨今日もバテバテだったねぇ、暑くなってきたから?」
「まぁ…あと、みんな烏野との試合で気合い入りすぎ。」
「そりゃあまさか戦えるとは思って無かったからなー。出来ることなら東京で会いたかったけど。」
「でも久しぶりの遠征楽しみじゃない?私ずんだシェイク飲みたい。」
「いいねぇ、宮城だとー…あとは牛タンとかだっけ?」
「萩の月とかも有名だよね。甘いやつ。」
「楽しみ〜!」
親も向こうに居るけど別に会わなくても良いかな。ホテルでロングステイしてるっぽいし。
なんでもない雑談をしているとおもむろに、クロのスマホが鳴った。
「何、昼間の女の子から?」
「昼間の女の子?」
「黙秘しマス。」
「あぁ…そういえばクロ、中庭近くで女の子と話してたっけ。珍しく夜久くん達と居ないなって思ったんだよね。」
「あれ、研磨見てたの?」
「飲み物買いに自販機行った時に。クロ、断ってたじゃん。」
「めちゃくちゃしっかり聞いてんのな。」
「好きなやつ居るから付き合えないって言ってた。」
「ガッツリ聞いてるねぇ研磨クンさぁ!」
「でも連絡先は交換したんでしょ?」
「してないと思うよ、好きな奴が妬くから無」「研磨ァー!!」
「うるさいクロ、ご近所迷惑。」
「お前が変なこと口走ろうとするからでしょうが!」
閑散とした住宅街でクロの声がよく響く。…何だ、連絡先も交換して無かったんだ。どこかホッとしている自分に驚きながらもクロの顔を見てみると、ちょっと顔赤くなってる。
「そうだねぇ、クロの好きな子は少しだけ妬くかもねぇ。」
「ほー、俺の好きな子の事よくご存知ですネ。ちなみに俺も男とホイホイ連絡先交換されるの嫌なんですけど?」
「毎回どっちかが告白される度に不機嫌になるくらいなら、早く付き合えば?」
「俺もそう思ってるよ。」
「不機嫌になってないし!!」
*黒猫、嫉妬する*
(あっ、言い忘れてたんだけど今週末兵庫行ってくる。)
(は?何で?)
(練習試合見に来いって言われた。)
(お前バレーの事になると行動力の鬼になるの辞めてくんない?)