第10章 黒猫ととある部活の1日
私もコイツも相当拗らせてるなぁ、なんて思い深く溜息をついてもう片側の髪も結び、リボンの位置を整える。折角貰った…というかほぼ押し付けられただけだけど、着けるならちゃんと見栄え位は良くしたいからね。
「ほらクロ、もう学校行こ。朝練遅刻するよ。」
「へーい。」
「…ヘアゴムありがと。」
「…………!どういたしまして。」
まさかお礼を言われるとは思っていなかったのか少し目を見開いてから、破顔するクロ。…嬉しそうに笑った顔、昔とあんま変わんないな。そんな事を考えながら、学校に向かった。
それから何事もなく時間は過ぎ、部活も終えて各々自主練が始まる。始まる前の、ちょっとした休憩時間。私は今日の授業中、退屈凌ぎでたまたまネットを見ていた時にチラリと目に入った内容が頭から離れずにいた。
「夜久ちゃん。」
「何?。」
「ちょっと壁ドンしてみてくんない?」
「…はい?」
「壁ドンだよ壁ドン!知ってるでしょ?」
「いやまぁ、知らない訳じゃないけど…いきなり何、どうしたの?」
「やられてみたいって願望を夜久ちゃんなら叶えてくれると思って。」
「何それ。」
ぶふ、と吹き出す夜久ちゃん。
そう、それは壁ドンだ!!色んな壁ドンの仕方!みたいなイラストを見たのだ。別にやられた事がない訳では無い。クロにされた事有るし…なんなら赤葦くんにもこの前された。が、そうじゃない。色んな壁ドンをされてみたい。そんな思いをそのまま夜久ちゃんにぶつけたら笑いやがった。
「なになに、壁ドンっスか!?俺やる!」
「なんでそんな嬉しそうなのリエーフ。」
「面白そうじゃねーか、誰が一番のお眼鏡にかなうか勝負しようぜ。」
「おれはパス。というかクロ……自信あるの?」
「そりゃもちろん、の事なら熟知してますから?」
「いや、私色んな壁ドンをされてみたいだけでドキドキしたい訳じゃないんだけど。」
こうして始まる第…何回目かわからない音駒男子バレー部おふざけ大会。主催、クロ。参加者、クロ、夜久ちゃん、リエーフ、研磨。もちろん研磨は強制だ。
「は点数付けろよ!平等にな!」
「じゃあクロマイナス100点!」
「まだやってもねーよ!平等って聞いてた!?」